結論:最低賃金1,176円は「避けられない前提」。原資は3方向から作るしかないし
2026年度の最低賃金、目安が出たよ。全国加重平均で1,176円、引き上げ額は+55円(率にして4.9%)。前年が+66円・6.3%だったから、伸び幅自体はちょっと鈍化した。でも水準は普通に過去最高だし、10月以降に都道府県ごとで順次発効するから、雇用してる中小企業にとってはほぼ確定した固定費アップってこと。
ここで「きついわー」で止まると機会損失なんだよね。やることは実はシンプルで、賃上げの原資を次の3方向から作りにいく。しかも全部「今月〜10月」に動く理由があるやつ。
賃上げ原資を作る3方向
- 守り①:価格転嫁 — 2026年9月は「価格交渉促進月間」。交渉を切り出す口実として国が用意してくれてる
- 守り②:助成金・税制 — 業務改善助成金は9/1受付開始。賃上げ促進税制も中小は継続
- 攻め:省力化投資 — 省力化投資補助金・一般型 第8回が10月中旬締切予定。人を増やさず「必要な作業時間」を削る投資
「賃上げ=コスト増を飲む」だけじゃなくて、価格・補助金・生産性の3つで取り返すのがROI視点の正解。順番と締切を下で整理していくよ。
根拠:数字で見る「今の中小企業の立ち位置」
自社が何ランクかで、上げ幅が違う
今回の目安はA・B・Cの3ランク制。ざっくりこんな感じ。
| ランク | 引き上げ目安 | 対象 |
|---|---|---|
| Aランク | +54円 | 埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪の6都府県 |
| Bランク | +56円 | 28道府県 |
| Cランク | +56円 | 13県 |
おもしろいのが、大都市圏のAランクより、地方のB・Cランクの方が上げ幅が大きいこと。地域間格差を縮める方向に振れてるんだよね。ちなみにこれはあくまで「目安」で、実際の金額と発効日は各都道府県の審議会が最終決定するから、自社の事業所がある都道府県の労働局の発表を必ず確認してね。発効日は10月上旬〜下旬で県ごとにバラつく。
価格転嫁、まだ半分しかできてない
経済産業省の「価格交渉促進月間」フォローアップ調査(2026年3月実施分)だと、価格交渉が「行われた」割合は90.7%まで来てる。交渉のテーブルには着けるようになった。でも実際の価格転嫁率は54.2%止まり。コスト要素別で見ると、
- 原材料費:55.7%
- 労務費:50.0%
- エネルギーコスト:48.9%
特に労務費(=人件費)の転嫁は50.0%と、ちょうど半分しか通ってない。賃上げ分をそのまま自社で飲んでる会社が、まだめちゃくちゃ多いってこと。逆に言えば、ここが伸びしろ。
景況は上向き。でも業種差はある
東京都の「令和8年8月調査」だと、中小企業の業況DIは-18で2か月連続の改善、先行き見通しも-16まで戻してる。ただし業種別だと卸売・サービスが回復する一方、小売はDI-33と低いまま。景気の追い風が来てる業種と、賃上げ負担だけが重くのしかかる業種で体感が割れてる。自社がどっち側かで、次の打ち手の優先順位は変わるよ。
具体例:守りと攻め、それぞれの動かし方
守り:使える助成金・税制(締切が早いものから)
業務改善助成金(厚生労働省)
事業場内最低賃金を50円以上引き上げて、あわせて生産性向上の設備投資をやると、その費用の一部(助成率は最大4/5、上限は最大600万円)が返ってくる助成金。2026年度は賃金引き上げコースが3コースに再編されて、申請受付は2026年9月1日開始。注意点は締切で、「地域別最低賃金の発効日の前日」か「11月末」の早い方でバシッと締まる。つまり10月に最低賃金が上がる県は、実質1〜2か月しか猶予がない案件。
※コース区分・助成率・申請期限の細かい定義は年度で変わるから、必ず厚生労働省の最新の公募要領を見てから動いてね。
もう一個が賃上げ促進税制。大企業向けは2026年3月で廃止されたけど、中小企業向けは令和9年3月末までに始まる事業年度まで継続。給与総額の増加分に対して法人税・所得税が控除される。ただし2026年度改正で教育訓練費の上乗せ(+10%)がなくなったり、控除率まわりの見直しが入ってるっぽいので、控除率の具体的な数字は顧問税理士か国税庁の資料で要確認。黒字化まで最大5年繰り越せるのは据え置きだから、赤字の年でも申告はしておくのが吉。
守り:価格転嫁の交渉は「9月」に切り出す
9月は国が設定した「価格交渉促進月間」。取引先に価格改定を打診するとき、「促進月間なので、労務費上昇分の価格転嫁についてご相談を」って言えるのはこの時期の強み。交渉が芳しくない発注者には事業所管大臣名で指導・助言も入る仕組みだから、中小企業側から言い出すハードルは下がってる。
攻め:省力化投資補助金・一般型 第8回
「攻め」の本命がこれ。人手不足対応で、人を増やさずに必要な作業時間を減らす設備・システム投資を支援してくれる補助金。第8回のスケジュールは公募が8月中旬、申請受付が9月中旬、締切が10月中旬の予定(※予定段階。要件・上限額は最新の公募要領で必ず確認)。
補助上限額は従業員規模で変わる(かっこ内は大幅賃上げ特例を満たした場合)。
| 従業員数 | 補助上限額 | 大幅賃上げ特例時 |
|---|---|---|
| 5名以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20名 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50名 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100名 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101名以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は原則1/2以内(要確認)。賃上げ要件を上乗せで満たすほど上限が伸びる設計だから、「賃上げ対応」と「省力化投資」を1つのストーリーにまとめて申請できる。まさに守りと攻めの合わせ技だし。
攻め:どのツールから入るか(省力化ツール比較)
賃上げは「時給 × 労働時間」で効いてくるから、削るべきは時間。まず「1日でいちばん人時を食ってる定型作業」を1つ特定して、そこに効くカテゴリから入るのが定石。代表的な5カテゴリを整理したよ。
| カテゴリ | 代表サービス例 | 削れる作業 | 向いてる業種 |
|---|---|---|---|
| セルフ/セミセルフレジ | スマレジ、Airレジ、POS+ | レジ会計・レジ締め | 小売・飲食 |
| キャッシュレス券売機 | 飲食向け券売機型POS各種 | 注文受け・会計・現金管理 | 券売スタイルの飲食店 |
| AI電話自動応答/代行 | IVRy、AIコンシェルジュ 等 | 予約・問い合わせの一次対応 | 飲食・美容・クリニック・士業 |
| シフト管理システム | アールシフト、Sync Up、Airシフト、oplus | 希望収集・シフト作成・共有 | 多シフトの小売・飲食・サービス |
| 勤怠・給与計算SaaS | KING OF TIME、ジョブカン、freee人事労務 | 打刻集計・残業計算・給与計算 | 全業種(10名〜) |
※料金は変動が大きいので、必ず各社の公式サイトで最新プランを確認してね。
投資額 ÷(年間で削減できる作業時間 × 改定後の時給)= 回収にかかる年数
例:120万円の券売機を入れて、レジ対応が1日2時間×年300日=年600時間減る。時給1,200円なら年72万円の削減 → 約1.7年で回収。ここが2〜3年以内に収まるかが投資判断の目安だし。
行動提案:この順番で、10月までに動こう
最低賃金の引き上げは「対応するかどうか」を選べるものじゃない。でも原資をどこから作るかは選べる。ROIで考えるなら、締切があるやつから順に潰していくのが正解。
- 今週:自社の事業場内最低賃金と、改定後の地域別最低賃金(見込み額)の差額を計算する。対象スタッフ数 × 上げ幅 × 年間労働時間で、負担増の総額を出す
- 9月前半:主要取引先に価格改定を打診(「価格交渉促進月間」を口実に)。同時に業務改善助成金の要件と自社の申請可否をチェック
- 9月中〜10月中旬:省力化投資の対象作業を1つに絞る。カタログ注文型で狙えるか、一般型が必要かを判断して、第8回の締切に間に合わせる
- 年内:顧問税理士に賃上げ促進税制の適用可否と控除見込みを確認
「賃上げきつい」で思考停止してる会社と、「原資を3方向から作る」で動いてる会社。1年後の利益率、たぶんけっこう差がつくよ。まずはステップ1の差額計算だけでも、今日やってみて。数字が見えれば、次に何をすべきかは自然に決まるから。
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